
ぼくの背中には貝殻がついている。
形も大きさも、今の自分にはちょうど良くて
とくに不自由はしていない。
でもある日、ぼくは出会ってしまった。
自分の体の何倍もある、見上げるほどの大きな貝殻。
・・・かっこいい。
自分にはないその佇まいに、心が奪われた。
素通りするフリをして、何度も何度も眺めにいった。
自分には重たすぎるだろうか。
似合わないって笑われるだろうか。
だけど、素通りし続ける人生は嫌だ。
勇気を出して手を伸ばしてみたその貝殻は
少しも持ち上がらなかったけれど
いつか軽々と背負える日が来ると信じて、挑んでいきたいんだ。
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