ていねい書店

うるうる
移りゆく色も、わたしの色。

雨の日、紫陽花が咲く道を歩くのが好き。

青、むらさき、ピンク。
寄り添うように咲いているのに
どれもがちゃんと、自分の色で咲いていて。
そんな紫陽花たちの姿が、私は好き。

そういえば昔、理科の先生が言ってたっけ。
「紫陽花の色は、土に含まれる成分によって変わるんだよ」って。

人も、少し似ているかもしれない。
どんな場所に身を置くか、
どんな価値観にふれるかで、
自分の色は、少しずつ変わっていく。

私は、変わってしまうことが少し怖い。
だけど、たとえ色が変わっても
私が私であることに変わりはないんだと思う。

雨に濡れながら、しずかに
でも確かに咲いている紫陽花たちに、
そんなことを教わった気がした。

言葉:榎本ひより
イラスト:安室匡美

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