
「あか!」「あお!」
覚えたての言葉を連呼しがちな息子は、知っている色を見つけると誇らしげにその色の名前を叫ぶ。
2歳になったばかりの息子。
散歩中も、一生懸命に小さな腕を伸ばして、指をさしては、私に世界の色を教えてくれる。
「あ、きいろ!」
あるとき、息子が弾む声でそう叫んだ。
だけど、目線の先にあるのは、赤い車。
私は思わず笑って、
「違うよ、あれは赤だね」と答えた。
また次の日も、赤い車を指さして
「きいろ!」と目をまんまるに輝かせている。
「いや、あれは・・・」
そう言いかけたとき、ハッとした。
車のライトが、黄色く光っている。
そっか。
息子は車を見てたんじゃない。
あの光を見てたんだ。
同じものを見ているようで、違っていた。
知らず知らずのうちに、勝手に決めつけていた。
「きいろを見つけたの?ママにも教えて!」
「うん!いーよ!」
うれしそうに笑う息子に、教わったこと。
一歩だけでも、相手の視点に立ってみたら、自分の世界は、ほんの少し広がっていくのかもしれない。
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