ていねい書店

ぬくぬく
尖らなくても、輝ける。

“尖っていなきゃ生き残れない”
どこかで聞いたその言葉を真に受けて、自分にしかない何かを、必死に探してた。

多様性だとか、個性だとか、自分らしさとか。
どれも大事なことはよくわかる。

わかるけど、なんだかしっくりこない。

自分だけの強さや輝きを見つけたい気持ちはあっても、“尖り”というものが、自分には程遠いような気がしてならない。

そんなとき、ふと思い出したことがある。

ラムネ瓶の中に入っている、まるいビー玉。
ほんのり色が入ったガラスの玉は、光に当てると、思いがけない色で輝いたりして、きれいだったな。

特別な形はしていなくても。
でも、ちゃんと輝いてた。

だったら私も。
無理に尖ろうとしなくても、誰かの光を受けながら、何通りにも輝けるかもしれない。

よし、決めた。
まるいままで、生きていく。

言葉:榎本ひより
イラスト:大久保惠夢

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力を抜くから、たどり着ける場所もある。
不便はいつも、人間でいさせてくれる。
眠れない夜の戦士たち。
まちがいさがしより、ちがいさがし。
奇跡の上に、立っている。