ていねい書店

ぬくぬく
「少し止まる」をくれる季節。

なぜかいつも、わたしは焦っていた。

ちょっと気を抜いたら、周りに置いていかれてしまいそうな気がして。
結論や答えを早く出さないと、一向に前に進めないのがもどかしくて。

何に追われているのかも、よくわからないけれど、
止まってしまうのが怖くて、ただ走り続けてきたように思う。

そんなとき、ある人から、こんな言葉をもらった。

「走るのを完全に止めなくてもいいけど、
でも、立ち止まることは大切だと思う。
“少し止まる”と書いて、歩く。ですよ」

そっか、歩いていいのか・・・。
肩の力が少し抜けて、勇気を出して立ち止まってみると
今まで見えなかった景色が見えてきた。

キラキラ輝く窓の光も
隣にいてくれる、大切な人たちの顔も。

走り続けるだけでは出会えなかった何かに、気づけたような気がした。

まだまだ先まで、進んで行きたい。
だからこそ、一歩一歩を踏みしめて
ゆっくり歩いてみよう、たまにはね。

言葉:榎本ひより
イラスト:許育誠

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尖らなくても、輝ける。
力を抜くから、たどり着ける場所もある。
不便はいつも、人間でいさせてくれる。
眠れない夜の戦士たち。
まちがいさがしより、ちがいさがし。